香十「香皿」デザインコンテスト2019

結果発表

2019年12月16日 14:00~17:00 香十香皿デザインコテスト選考会およびESTEBANラタンブーケデザインコンテストを
銀座本社6階会議室にて行いました。

選考委員 中原慎一郎(インテリア&プロダクトデザイナー)
島田昭彦(京都伝統文化プロデューサー)
橋爪淑子((株)三越伊勢丹三越銀座店ジャパンコレクションマーチャンダイザー)
小仲正克(株式会社日本香堂ホールディングス代表)

【最優秀賞】姫野剛 様

作品名:「Cliff」

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作品詳細
シンプルながらも、切り立った断崖のようなシャープで不安定な形状で、使用時も非常用もスタイリッシュに空間を演出する佇まいを持たせた。また、三角錐状の半透明ガラスは厚みの違い・見る角度によって色合いの変化が生まれる。お香から上がる煙のような移ろい漂う趣を持たせた。

【選考委員より】

小仲 最優秀賞に選ばれた姫野さんの作品です。審査員全員一致でした。
中原さんいかがですか。
中原 中のグラデーションがすごくきれいに見て透け方もそうなのですけど、造形、デザインがいいなと思って選びました。
小仲 実は選考の最後の最後に入れた作品です。
島田 よく見るとすごいよくできた作品ですよね。
中原 バランスがよい。
小仲 ご職業柄か、非常にプロダクトっぽい。
島田 全体のバランスの造形もそうだし、差し込むところも難しいと思うけど絶妙にこう前後のバランスもいいし色もきれいです。普通香皿って静的イメージが強いのですけど、静の中に動があるという斬新さがあり、今までの香皿概念とかイメージを突き破った作品かなと思いました。
橋爪 皆さん全部言っちゃった感じです(笑)。見てかっこいいというひとことです。
中原 直感でね。
橋爪 はい、静的な中に動的なっていうのがすごいピッタリする感じがします。
小仲 かっこいいですよね。ありがとうございました。
姫野剛様 受賞の気持ち
香を嗜むという趣のあるひとときを演出するために、可能な限り機能を感じさせないデザインを目指しました。ガラスの厚みの差による色合いの変化と、シンプルながらもアクセントになる形状という2つの特徴を持たせました。色合いの変化という繊細な特徴を活かすため、形状のシンプルさのバランスを吟味しました。
また、製作の過程においてもガラス材の選定や製法など、悩みながらも勉強になることが多く楽しむことができました。
この度は、このようなすばらしい賞をいただき、誠に嬉しく思います。
ありがとうございます。

【優秀賞】43 様(グループ)

作品名: Silence pool

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作品詳細
お香は香りを楽しみ、日々の時間を忘れて、心に余白をつくり、そこに静かな空間を創出します。
落ちてゆく灰の姿に、静けさが消費されていく様を想います。
“silence pool”は、その静けさの残滓が風景をつくる器です。
縁側に座って刻々と移ろうお庭の風景に時を忘れてしまうように、静けさのの残滓がつくる風景は、私たちを静の深遠へと引き込んでいきます。

【選考委員より】

小仲 優秀賞も最優秀賞にしてもよいくらいのプロダクトだと思うのですがいかがでしょうか?
島田 金属でこれをつくっているのはすばらしいと思いましたね。最終的にはお皿になっていますけどひとつひとつはパーツとしての創造なのでそこをチームで考えられたと思うのですけどよく考えられたなと。
小仲 着色はどうしているんでしょう?
中原 塗装でしょうね。大きい型をとって・・・レーザーで抜いているんでしょうかね。
実際のプロダクトにするときはどういう計画かですね。
小仲 よく考えられている。
島田 結果お皿になっているけど、パーツごとになっている。
小仲 男性が考えられた感じです。
橋爪 今回は男性が多いですね。
島田 多いですね。昨年の感じとは違いますね。
中原 色のプロダクトがきれいです。
島田 見ていて飽きない感じですね。
小仲 1次選考の時は1色だったんですね。
橋爪 ブルーの色合いがすごくいいですね。違った色だったらまた違う結果になっただろうし、すがすがしい感性ですね。
小仲 ありがとうございました。
43様(グループ) 受賞の気持ち
この度は栄えある賞を頂きまして誠にありがとうございます。
実作にあたり、構造と質感(素材)の間に葛藤がありましたが、その緊張感の中での制作は快感でございました。
このような経験をさせていただきありがとうございました。
私たちはそこにある空気を露わにし、そこに風景の生まれるきっかけをつくりたいと考えております。
お香が持つ静謐で pure な空気、お香を焚くことでその時々に想う風景に出会うきっかけの器として、上手く表現出来ていたら幸いでございます。

【中原賞】奥山彩 様

作品名: ~New Crossing~

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作品詳細
現在の建物内装は洋風が多いです。スッキリ、スタイリッシュなデザインにしようと心がけました。クロスヘアライン仕上げにすることで、少し和柄も感じさせ、お香に合うと思いました。

【選考委員より】

中原 これはシンプルなんですけど、中がきれいに仕上げて細かくきれいなコントラストがいいなと。シンプルだけど面白い。立てて使えないかと思ったんですけど。
橋爪 そうですね。ヘアラインが入っていなかったらまた違いますね。
中原 そうですね。最初にかけて曲げている、匠だなと。
小仲 実際にプロダクト化した時は(香立の)接着とかしやすそうですね。ありがとうございました。
奥山彩様 受賞の気持ち
この度は、このような素敵な賞を頂きまして、ありがとうございます。私は建築の内装をしておりまして内装や家具を造作施工する者になります。私のデザインが売り物として人前に出したことはなく、いつかチャンスがあるならば挑戦をしてみたいと思っていた矢先、御社のコンペティションに出会いました。
私自身、線香をあげるときもあり、今の自分の部屋に合わせた、落ち着いた風味のデザインを考えてみました。二次審査は実際に製作するとのことで、難しい陶器類は避け、はじめから仕上げ材になっているものを探しているうちに、ステンレスレスのクロスヘアラインに辿り着きました。小口など、まだまだ収まりや大きさを考えるべき箇所はあるものの、シンプルなデザインが今の私のお部屋にピッタリでしたので、自分ではとても満足しております。このような賞を頂き、とても誇りに思うと同時に本当に嬉しく、自信にも繋がります。本当にありがとうございました。

【島田賞】鑛納未來 様

作品名:しあわせをかさねて

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作品詳細
仕様説明「重なる色と形」について研究をしています。
母が嫁入りの際に祖母が母へ贈った着物の柄をモチーフにしています。嫁入りという小さな幸せは祖母にとっても私にとっても幸せなことです。そんな小さな幸せは日々の中に紛れ込んでいて、また新しい日常の小さな幸せを呼び込んでくれるでしょう。この作品は着物の亀甲紋をレイヤー構造に分解しています。3 つでセットの組み作品です。ひとつひとつ楽しんでもいいし二枚重ねたり、三枚重ねたり使い方は様々です。
使うということはどういうことでしょうか。使う時というのは片付ける、あるいは準備するのも使うということではないでしょうか。「重なる色と形」はそんな全ての動作に楽しさを生み出せる可能性を持っていると私は思っています。

【選考委員より】

小仲 ストーリーにぐっと来たという島田賞はいかがでしょうか?
島田 京都らしい着物の重ね、ストーリーがあって僕はこれはいいと思いました。
重ねる色を伝えていて、着物をモチーフにしておばあちゃんからお母さんへ贈られた着物から発想し、それを香皿に落とし込んだ、鑛納さんの研究テーマが「重なる色と形」ということで、それぞれのデザインを上から見ても楽しめるし、1 枚ずつでもきれいですし、日本人が忘れかけていた重ね技を香皿で表現されている。他の作品では 1 枚でという中で重ねてということで色も楽しめますし、将来性も考えて選ばせていただきました。普段の研究の中から応募してくださったのが嬉しい気持ちもします。海外の人にもうける、日本の重ね文化。もうひとつは結婚のお祝いとかプレゼント用とかそういったストーリーもあるのかなと。
中原 醤油さらとかにもいい。
小仲 「しあわせをかさねて」という作品名もいいですね。ありがとうございました。
鑛納未來様 受賞の気持ち
この度は審査員賞「島田賞」をいただき、誠にありがとうございます。
普段は器を中心に作品を制作していますが、香皿は初挑戦でした。私の作品は食卓の中のお皿であったりグラスなどが多いのですが、器という概念はもっと広い分野であることを香皿を制作する中で再確認しました。器に対しての考え方を見つめ直す良いきっかけになりました。

【橋爪賞】鹿田洋介 様

作品名:ゆらぎ

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作品詳細
香がかおり揺らぎ流れる。ゆるやかな空気感のイメージを器にしました。

【選考委員より】

小仲 橋爪さんいかがでしょうか?
橋爪 今まで香皿というと、平べったいイメージが多いと思ったので、しかもガラスで流線形のものがないんじゃないかなと、今までのイメージを変えるものがこれかなと。
今回、新島ガラスセンターの方々が応募してくださったのがとてもいいなと思います。
あと、ガラスが火山石を材料にした天然の色ガラスで素材の選び方もとてもよいです。
香皿だけでなく、花器に見立てたり色々な可能性があると思いました。
吹きガラスでつくられているので、ハンドメイドですね。
島田 写真よりも現物で見るとまた違いますね。
小仲 ありがとうございました。
鹿田洋介様 受賞の気持ち
この度は栄えある賞を頂きありがとうございます。
私のガラスを通した香の表現を評価いただけて大変嬉しく思います。
普段は、東京の離島”新島”で「新島ガラス」を用いて制作をしております。この賞を励みにより一層制作に精進したいと思います。
評価を頂いた審査員の方々、普段から制作を応援してくださる皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

【香十賞】篠塚裕子 様

作品名:Water Lily

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作品詳細
皿の上の好きなところに置く香立ては2重に重ねる形。
皿と組み合わせるとパーツとしては3つ。

【選考委員より】

小仲 最後に香十賞お願いいたします。
榊原
(香十社長)
香十の雰囲気にあっていて、プロダクト化するのにとても良い感じでした。陶器ですてきだなと。箱庭の感じで一番いいです。
橋爪 香十ぽい感じですね。
島田 贈り物にもいいですね。葉っぱの部分も素敵です。
小仲 審査員の皆様は選ばなかったのですが、香十としてはこちらがよいと思ったんですね。一押しでしたね。
榊原 はい、これが最初からいいと思っていました。
小仲 ありがとうございました。
篠塚裕子様 受賞の気持ち
この度は大変ありがたい賞を頂きまして誠にありがとうございました。
この睡蓮の香皿を形にして送り出せたことを本当に嬉しく思っております。
涅槃、彼岸のイメージを持つ蓮と水面の情景は、日々通る日常の風景の一つで、これまでも繰り返しいろいろな表現を試してきました。
水面を模した盤の上に漂う花房に香る線香にはこの世とあの世を繋ぐイメージにも重なり、いろいろな形で楽しんでいただけるのではないかと思います。
線香の持つ可能性を少しだけでも広げることができれば嬉しいです。
ありがとうございました。

【アイデア賞】中嶋光哉 様

作品名:和む

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作品詳細
無機質な銅を有機的なフォルムに作り上げ、周りの風景や香りの煙を映り込ませました。

【選考委員より】

選考委員 全体的な素材感とアイデアがよく、お香を立てる部分も考えられていて面白いと思いました。
中嶋光哉様 受賞の気持ち
この度は香皿デザインコンテストでアイデア賞を頂き、大変驚いております。
どうもありがとうございました。香十様の公募を見たときに大変興味を持ちお香の香りとともに器がとても大事だと思い見た目にも癒される物を作りたくなり、今回の「和む」を作りました。また、公募が有るようでしたら是非参加したいと思っております。
誠にありがとうございました。

【アイデア賞】林恭平 様

作品名:蓮華文梵焼皿

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作品詳細
密教の護摩炉の『敬愛炉』から着想を得て、蓮華文を抽象化したデザインの香皿です。護摩のように禍々しくなく、大切な人をおもいながら香をたくように時間を過ごす道具です。

【選考委員より】

選考委員 デザインが繊細で、蓮華の美しい模様が見事につくられています。
林恭平様 受賞の気持ち
「アイデア賞」をいただき大変光栄です。誠にありがとうございます。
今後も良い作品を追求していくきっかけをくださり非常に励みになります。
この度は本当にありがとうございました。

【アイデア賞】相川繁隆 様

作品名:香流

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作品詳細
光り輝く水面に、香りの美しい煙の流れが映り込む様を表現しました。

【選考委員より】

選考委員 反射して映り込み感じがいいですね。水面に見立てられた表面が鏡に映ったように美しく引き込まれました。
相川繁隆様 受賞の気持ち
無機質のアルミニウムを有機的なフォルムに作り上げ、周りの風景や煙を映り込ませるアイデアが評価されたのだと思っています。
この受賞を機会にシリーズ化したテーブルウエアの展開を考えております。誠にありがとうございました。

【アイデア賞】渡邊泰子 様

作品名:いのり

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作品詳細
硝子のパート ドヴェール技法で、お線香を手に添えるガラスのお地蔵様を香皿に設えました。

【選考委員より】

選考委員 こちらを見たときに、仏壇がない家に置いていただくイメージがわきました。また、余談ですが、遠くから見るとワカサギ釣りをしているようにも見えたので、下の皿部分に魚を象っても面白いかなと思います。
渡邊泰子様 受賞の気持ち
過分な賞を賜り、恐縮しております。
ありがとうございました。

【審査を終えて】

小仲 今回は、橋爪様にも審査員としてご参加していただきありがとうございました。
香十 第2回香皿コンテストは素材を増やして(陶磁器製の他、ガラス、金属)公募致しました。
合計69点作品の応募をいただき、第一次選考で24作品が選出されました。
最終選考にて、最優秀賞、優秀賞、各審査員賞4作品、アイデア賞4作品の10作品が選出されました。
島田 今回は陶器が少なかったですが、また次回は陶器の応募が増えることを願っています。
小仲 香十という名前だけでなく、審査員の皆様のおかげでこういった作品が集まったと思っております。誠にありがとうございました。
【第2回2019香皿デザインコンテスト授賞式のお知らせ】
2020年3月4日に授賞式を開催いたします。

新型コロナウイルス性肺炎対応といたしまして開催を中止いたします。
恐れ入りますがご理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
場所:日本香堂ビル「銀座香箱」
東京都中央区銀座4-9-1 6階万華鏡ルーム
受賞作品展示予定について
2020年6月22日~7月5日
香十二寧坂店(京都府京都市東山区桝屋町349-8)
2020年7月13日~7月31日
日本香堂ホールディングス本社ビル1階「座 香十 楽」
(東京都中央区銀座4-9-1)
一部受賞作品を(新たに製造したもの)販売いたします。
(受賞作品本体は販売いたしません)